模範演奏CD付 ウクレレ・プレイヤーズ・セレクション

名渡山遼さんといえばYoutubeでも色々な演奏動画をアップされている若手プロですが、そんな名渡山遼さんが楽譜を出していたことに気づき、遅ればせながら購入しました。（2016年6月発行第3刷）名渡山遼さんの「Sign」と「君をのせて」は共に一日がかりで耳コピして採譜した曲だったので、正式な譜面ではどうなっているんだろう、という興味や、オリジナルの代表曲「Way 2 Go」の譜面があることが購入の決め手です。表紙は名渡山遼さんの８作目ウクレレ「T-46」を加工したものでしょう。個人的には変に写真をいれず、木目をそのままアップにしただけでも十分映える表紙になった気がします。さて、肝心の中身です。全２０曲とありますが、Low-G、High-Gが混在している上、それぞれの曲がオリジナルアレンジなのかアレンジのアレンジ（？）なのか、メーカーサイトや名渡山遼さんのサイト等では特に記載が見つかりませんでした。ですので以下に羅列します。（タイトル、時間、チューニング、コメント、難易度の順）（難易度はAがキヨシ小林さんのジブリ程度、DがジェイクのWhile My Ukulele Gently Weeps程度、私個人が勝手に付けた非常に主観的な表記です。）１．この素晴らしき世界（2:51）High-G、イズ（Israel Kaʻanoʻi Kamakawiwoʻole）のアレンジをバラードアレンジ、難易度A２．虹の彼方に（3:10）Low-G、イズのアレンジをバラードアレンジ、難易度A３．星に願いを（2:13）Low-G、オータサンアレンジを多少簡略化したアレンジ、難易度A４．タッチ（3:05）、High-G、ジェイクの「タッチ」です。アニメの方じゃありません。アレンジはアルバム「Dragon」を多少簡略化したもの。難易度B５．一期一会（3:35）、High-G、ジェイクの一期一会を簡単アレンジ。難易度B６．花（2:02）、High-G、3rdアルバム「RAINBOW」のカバーとは違い、原曲を忠実にアレンジとのこと。難易度B７．雨にぬれても（1:53）、High-G、関口和之アレンジ（口笛とウクレレ）のソロアレンジ、難易度B８．哀愁のヨーロッパ（2:36）、Low-G、Brittni Paivaアレンジのアレンジ、難易度C９．Just the way you are（2:25）、High-G、おそらく名渡山遼オリジナルアレンジ、難易度C１０．Sign（2:26）、High-G（Low-Gも演奏可）、Youtube版と同じかと思いきや、所々簡略化。少し残念。難易度C１１．Hawaii Five-O（1:07）、High-G（Low-Gも演奏可）、Taimane Gardnerのアレンジのアレンジ。難易度C１２．Ahi Wela（3:53）、High-G、イズのアレンジのアレンジ。譜面は３ページ。（１～１１は見開き）難易度B１３．君をのせて（2:46）、High-G、Youtubeのアレンジを簡略化。３ページ。難易度C１４．Crazy G（1:31）、High-G（Low-Gも演奏可）、ジェイク版のアレンジ。３ページ。難易度D１５．Blue Roses Falling（3:11）、High-G、ジェイクの初期アレンジの簡易版の様。中学生の頃１日５回弾いて、３年間で５５００回ほど弾いたそう。３ページ。難易度C１６．Bitter Sweet Samba（1:45）、High-G（Low-Gも演奏可）、関口和之アレンジ（口笛とウクレレ）のソロアレンジ。３ページ。難易度C１７．Stardust（3:22）、Low-G、オータサン版のほぼ完コピと記載あり。本書で一番難しいそうです。３ページ。難易度D１８．Body Surfing（2:58）、High-G、オリジナルアレンジ版、３ページ。難易度C１９．Dancing Queen（2:29）、High-G、ウクレレ・モーニング ~ハワイアン・カフェ~のアレンジのリアレンジ。４ページ。難易度D２０．Way To Go!!（2:03）、High-G、オリジナルの代表曲。アルバム「Way 2 Go!!」やRAINBOWに収録。何だか音数が少ないような…？４ページ。難易度D以上２０曲が収録されています。Low-Gは４曲あり、Stardustや哀愁のヨーロッパはLow-Gならではの楽譜なので弾くなら専用にLow-Gウクレレを１本持っておきたいところ。全体的にタブ譜は大きめで、某しらべシリーズの様に細くて小さく読めない、ということは無さそうです。それぞれの曲に1ページずつ演奏のポイントとして、コードの押さえ方や音色、使う指のポイント、表現の仕方、ストラム・特殊奏法のポイント等々、結構勉強になります。（楽譜そのものよりもありがたいかも…）また後半の曲はハイフレが多いので、ソプラノだと厳しいかもしれません。コンサートテナー以上のウクレレがオススメです。（名渡山遼さんはLow-Gをコンサートテナー、High-Gをテナーウクレレで演奏しています。）他の方のレビューにあったように、ストラムの方向等は楽譜中に記載がありません。ですが、基本（表がダウン、裏がアップ）がわかっていれば大体わかりますし、演奏のポイント欄にちょっとしたポイントとして記載されている曲もあります。ジェイクの楽譜の、ストロークなのか普通に弾くのかよくわからない記譜よりはまだわかりやすいでしょう。楽譜のまとめとして、思ったよりは楽譜が簡略化されている印象ですが、このくらいの難易度の楽譜集は中々貴重なので嬉しいです。ただ、やはり名渡山遼アレンジとして出すなら全体的に難易度を一つ上げても良かった気がします。これ、奥付見るとわかるんですが、アレンジ・演奏は名渡山遼さんとなっているのに対し、採譜は有限会社アールジーエスとなっているんですね。ということは名渡山遼さんが楽譜を書いて提供したのではなく、演奏を提供してそこから耳コピしたということでしょう…。そう考えるとストラムの方向が一切書いていないのも納得できますが、少々残念です。ちなみにCDはこれだけでもアルバムとして販売できる価値がありそうな程。その辺のおしゃれなカフェとかで流れてそうです。総評としては、バリバリの名渡山遼アレンジを求めている方には今ひとつかもしれませんが、程よい難易度のソロウクレレの楽譜としては中々良い楽譜だと感じました。ジェイクのWhile My～が何となく弾けるくらいの方にぴったりの楽譜といえそうです。